2022.01.15
障害を持った子供がおられる親御様から「私がいなくなった後、生活していけるか心配です。」とご相談を頂きました。
これは昨今「親なき後問題」と言われています。「親なき後問題」とは、知的障害、精神障害などの障害を持つ子どもがいる家庭で、今のところは親が身の回りのことやお金の管理をしているから支障はないけれど、親がいなくなった後に子どもの生活が立ち行かなくなる問題です。
各家庭の事情によりますが、何も対策をしていなかったばかりに、親がいなくなってから、子どもの生活状況が一転してしまう事例が散見されます。
障害の内容、家庭の状況は十人十色なので、親なき後対策の具体的内容も人それぞれですが、まず大事なのは、子どもを福祉サービスにつなげ、サービスを拒否することがないようにしておくことです。
というのも、親なき後は子どもを助ける手立てとして障害者福祉や介護保険制度の利用が鍵になることがありますが、子どもがいざというときに福祉サービスの利用を拒んでしまうと、子どもが孤立し、危険な状況におかれるからです。
そして、親なき後は、お金の管理をどうするかという問題も重要です。例えば、金銭管理が苦手な方の場合、親なき後、一気にお金を使ってしまうといった問題が生じることがあります。
そういった問題を防ぐための方法には、あらかじめ子どものために「後見人」をつけておくという方法があります。
「後見人」とは、判断能力が不十分な人にかわり、本人の生活に配慮をしながら財産管理や事務処理をする人で、本人の4親等内の親族等がその選任を家庭裁判所に申し立てることで選任されます。
「後見人」は、本人の判断能力に応じ、後見、保佐、補助といった名称の職務、権限が与えられ、その範囲で活動します。そして、基本的に終生続きます。
「親なき後問題」を考える方は、一度後見制度を検討してみてはいかがでしょうか。
また、場合によっては、信託や遺言という制度を併せて検討してみることも有益です。
詳しくは、当事務所までお尋ねください。
神戸・兵庫の「街」のホームロイヤー
司法書士 福嶋達哉