こんにちは。司法書士の福嶋です。
今回は、破産した会社名義の根抵当権が登記簿上に残っている場合の、抹消手続きと訴訟対応についてお話しします。
■ 事案の概要
相続のご相談に来られたAさんが持参した登記簿を確認したところ、「日本不動産ローン株式会社」を根抵当権者とする登記が残っている状態でした。
Aさんの父が住宅ローンを組んでいた会社で完済しているとの事でした。
この時は「清算会社かな?」と思っていたのですが、かなり以前に破産手続を終結した会社でした。
さらに登記簿上には、同社名義の賃貸借仮登記も併存しており、これも不動産処分の支障となっていました。
■ 手続の経過
根抵当権の抹消登記を行うためには、通常、債権者(根抵当権者)の協力が必要です。
しかし今回は、債権会社が実体として存在せず、代表者や管財人にも連絡が取る事は出来ません。
このような場合、根抵当権抹消登記手続請求訴訟を提起することになります。
運よく本件の訴訟物の価額は、対象不動産の固定資産評価額を基準とした結果、140万円以下でした。
したがって、司法書士の代理権の範囲内(簡易裁判所管轄)で対応可能であり、私が訴訟代理人として提起する事となりました。
■ 特別代理人の選任申立て
被告である日本不動産ローン株式会社は、破産会社であり実体も存在しません。
このため、通常の訴状送達や公示送達では適切な手続が確保できず、今後の売却もありましたので、提訴と共に代表者の代わりに訴訟行為を行う特別代理人選任の申立てを行いました。
なお、候補者は知り合いの弁護士にお願いしました。
裁判所によりその先生が特別代理人が選任され、その代理人を相手として審理が進められました。
■ 結果と登記手続
訴訟の結果、請求が認められ、確定判決をもって根抵当権及び賃貸借仮登記の抹消登記を行いました。
長期間放置されていた登記の整理が完了し、不動産の円滑な売却・活用が可能となりAさんもとても喜ばれておりました。
登記簿上は存在していても、実際には債権者会社が消滅しており、登記が放置されることがあります。
中でも多いのは株式会社SFCG、株式会社商工ファンドの根抵当権でしょうか。
今回のケースと同様に破産が終結している会社です。
そのような場合でも、司法書士による訴訟手続と登記申請の一貫対応で解決できることがあります。














