2021.04.26
住宅ローンの支払いが苦しくなり、約10年前に任意売却により不動産を売却したAさんが事務所に来所されたのは昨年末の事でした。
任意売却とは、住宅ローンを6か月以上滞納し、債権回収会社や保証会社に移ったあとにローンオーバーの状態で売却する方法です。
こうした状況を、法律用語では「期限の利益の喪失」とも言われます。
任意売却後に残った残金は約1000万円。
債権回収会社との交渉で毎月1万円ずつの返済をする事で合意し、以降毎月欠かさず返済してきました。
しかし、同居の父親の体調が悪化した事により将来を危惧し、当事務所に相談にお見えになられました。
改めて債権調査したところ、損害金を含めた債務総額は約2500万円。
それもそのはず、毎月1万円を返済したところで、年間140万円に及ぶ損害金が加算されるため、日を重ねるごとに債務は雪だるまのように膨らんでいくのです。
驚いたAさんは自己破産を決断し、裁判所へ申立てを行いました。
自己破産の流れとしては簡単に説明すると下記の通りとなります。
①自己破産の申し立て
書類をそろえて裁判所に破産を申し立てる手続きです。
②破産手続開始決定
申し立てを受けた裁判所が「破産の手続きに入ります。」という決定を出します。
ここから正式に破産手続きがスタートとなります。
③免責許可決定
裁判所が「借金を帳消しにします」という許可を出します。
①の申立てを終えてから約10日後、
②の破産開始決定を待っていた状態のときにAさんから父親が亡くなったとの連絡を受けました。
この場合皆さんはどう考えるでしょうか。
「自分が自己破産する事により、相続財産を取り上げられ他の相続人に迷惑が掛かってしまうのでは?」と不安になるのではないでしょうか。
Aさんも同じでかなり動揺されておられました。
ですが、相続人が自己破産する場合でも、
「相続放棄」をうまく使うことによって、
他の相続人に遺産を残すことができる場合があります。
少し長くなりましたので、続きはまた次回で。
神戸・兵庫の「街」のホームロイヤー
司法書士 福嶋達哉