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2025.10.21
こんにちは。司法書士の福嶋です。
今回は、破産した会社名義の根抵当権が登記簿上に残っている場合の、抹消手続きと訴訟対応についてお話しします。
■ 事案の概要
相続のご相談に来られたAさんが持参した登記簿を確認したところ、「日本不動産ローン株式会社」を根抵当権者とする登記が残っている状態でした。
Aさんの父が住宅ローンを組んでいた会社で完済しているとの事でした。
この時は「清算会社かな?」と思っていたのですが、かなり以前に破産手続を終結した会社でした。
さらに登記簿上には、同社名義の賃貸借仮登記も併存しており、これも不動産処分の支障となっていました。
■ 手続の経過
根抵当権の抹消登記を行うためには、通常、債権者(根抵当権者)の協力が必要です。
しかし今回は、債権会社が実体として存在せず、代表者や管財人にも連絡が取る事は出来ません。
このような場合、根抵当権抹消登記手続請求訴訟を提起することになります。
運よく本件の訴訟物の価額は、対象不動産の固定資産評価額を基準とした結果、140万円以下でした。
したがって、司法書士の代理権の範囲内(簡易裁判所管轄)で対応可能であり、私が訴訟代理人として提起する事となりました。
■ 特別代理人の選任申立て
被告である日本不動産ローン株式会社は、破産会社であり実体も存在しません。
このため、通常の訴状送達や公示送達では適切な手続が確保できず、今後の売却もありましたので、提訴と共に代表者の代わりに訴訟行為を行う特別代理人選任の申立てを行いました。
なお、候補者は知り合いの弁護士にお願いしました。
裁判所によりその先生が特別代理人が選任され、その代理人を相手として審理が進められました。
■ 結果と登記手続
訴訟の結果、請求が認められ、確定判決をもって根抵当権及び賃貸借仮登記の抹消登記を行いました。
長期間放置されていた登記の整理が完了し、不動産の円滑な売却・活用が可能となりAさんもとても喜ばれておりました。
登記簿上は存在していても、実際には債権者会社が消滅しており、登記が放置されることがあります。
中でも多いのは株式会社SFCG、株式会社商工ファンドの根抵当権でしょうか。
今回のケースと同様に破産が終結している会社です。
そのような場合でも、司法書士による訴訟手続と登記申請の一貫対応で解決できることがあります。
長年放置されている古い抵当権や根抵当権でお困りの方は、ぜひご相談くださいませ。
2025.08.28
こんにちは、司法書士の福嶋です。
非常に珍しいですが、合資会社から株式会社への組織変更や有限責任社員の持分譲渡のご依頼を立て続けに頂戴しました。
株式会社や合同会社と比べると、合資会社は数こそ少ないものの、今もなお存在する会社形態のひとつです。
司法書士として日々登記の相談を受ける中でも、「合資会社ってどういうもの?」「まだ設立できるの?」といった質問をいただくことがあります。
今回は、合資会社の基本的な仕組みや、現状について整理してみます。
合資会社の基本的な仕組み
合資会社は、無限責任社員と有限責任社員が組み合わさった会社形態です。
この2つの社員が必ず存在することが、合資会社の大きな特徴です。
他の会社形態との違い
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株式会社:株主は有限責任、取締役が経営
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合同会社:出資者=経営者で、全員有限責任
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合名会社:社員はすべて無限責任
これらと比べると、合資会社は「リスクを負う社員」と「リスクを限定する社員」が混在している点で独特です。
合資会社の現状
実際には、合資会社の新設件数は非常に少なくなっています。理由としては、
といった点が挙げられます。
ただし、明治期から昭和初期にかけて設立された合資会社が、現在も商売を続けているケースもあります。地域の老舗企業や同族経営の事業に多く見られるのも特徴です。
司法書士が関わる場面
合資会社について司法書士が関わるのは、主に次のような場面です。
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合資会社の設立登記
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役員変更や社員の加入・退社の登記
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持分譲渡に伴う手続き
-
休眠状態から清算・解散手続きへの移行
「合資会社だから特殊な登記が必要」というわけではありませんが、株式会社や合同会社に比べて馴染みが薄いため、制度理解を踏まえた対応が求められます。
まとめ
合資会社は、歴史のある会社形態であり、今もなお地域経済の中で生き続けています。新規に選ばれるケースは少ないものの、既存の合資会社に関する登記や承継、解散といった場面では司法書士の関与が欠かせません。
合資会社に関して「社員の変更」「持分の譲渡」「清算」など具体的な疑問がありましたら、専門家に早めにご相談いただくと安心です。
2025.06.26
相続が発生した場合、民法の規定通りの割合で相続人全員が相続するときは遺産分割協議をする必要はございません。
しかし妻の単独名義にしたいなど、民法の規定と異なる割合で相続登記をするには、相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。
遺産分割協議は法律行為ですので、相続人の中に未成年者がいる場合は、その代理人となる特別代理人の選任が必要になるのです。
令和4年4月1日に新民法が施行され、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
したがって、現在18歳の方は成人ですので遺産分割協議に参加することができます。
しかし、18歳未満の未成年者は遺産分割協議に参加することができません。
親権者である親は未成年者の法定代理人ですが、親子間で遺産分割協議をする場合、親が子の代理人となるとお互いの利益が相反し不当な結果を招く恐れがあります。
ですから未成年者のために特別代理人の選任を家庭裁判所に申立てなければならないのです。
特別代理人は、本人との間に利害関係がない人であれば誰でもなることができます。
法定相続人以外の親族がなる場合が多いですが、未成年者に不利益がないようにしなければなりません。
未成年者の相続分が法定相続分未満など未成年者が不利益を被るような内容の遺産分割協議では、家庭裁判所は特別代理人の選任を認めないことが原則です。
特別代理人の選任をせずに単独名義にしたい場合は、未成年者が成人になるのを待ってから遺産分割協議をすることも可能ですが、令和6年4月1日から相続登記が義務化されるので長期間相続登記ができない場合は注意が必要です。
このようなケースは意外にも多くあり、裁判所へ申立て等で時間を要しますので、お困りの際にはお気軽にご相談下さいませ。
2025.04.23
「うちは仲がいいから大丈夫」
「財産もそんなにないし、遺言なんて必要ないでしょ」
そうおっしゃる方はとても多いです。
ですが、相続をきっかけに、それまで穏やかだった家族の関係が変わってしまうことがあるのも現実です。
実は、「相続」に関する相談は年々増えていて、ちょっとした行き違いが大きなトラブルに発展するケースも珍しくありません。
今回は、そんな「もしものとき」に備えるために、司法書士がどんなサポートをできるのか、そして実際にあったご相談のエピソードをご紹介しながら、「遺言書って、実はとっても大事なんですよ」というお話をしていきます。
💬 こんなご相談がありました
ある日、ご年配のご夫婦が相談にいらっしゃいました。
「うちは子どもがいないから、兄弟たちに財産がいくことになると思う。でも、長年一緒に頑張ってきた妻に、なるべく多く残したいんです」とご主人。
実は、子どもがいない場合、夫婦の一方が亡くなると、残された配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。
お互いにあまり交流のない兄弟と話し合いをしなければならなくなり、精神的な負担になることも…。
そこで、私たちはご主人の想いをきちんと形にするため、公正証書遺言の作成をサポートしました。
公証役場とのやり取りも代行し、無事に「奥様が安心して暮らせるように」との想いが反映された遺言書が完成。
その数年後、ご主人が亡くなり、奥様から「本当にあのとき相談して良かった」と感謝の言葉をいただきました。
📝 遺言書って、なにを書くもの?
遺言書というと「大金持ちが書くもの」というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。
むしろ、**「大きな財産じゃないからこそ、分け方で揉めやすい」**という現実があります。
遺言書では、こんなことが決められます:
- 財産を誰にどれだけ渡すか(預貯金、不動産、株など)
- 誰に管理を任せるか(遺言執行者の指定)
- 特定の人に感謝の気持ちを込めて何かを渡す など
書くことで、自分の意思をきちんと伝えることができますし、残されたご家族が「これでいいのかな…」と迷うことも減らせます。
👩⚖️ 司法書士がお手伝いできること
私たち司法書士は、遺言書の内容のご相談はもちろん、
書類の準備や、公正証書遺言の手続き、公証人とのやり取りなど、難しいところをしっかりサポートいたします。
他にもこんなサポートができます:
- 相続人の調査(戸籍集めなど)
- 不動産の名義変更(相続登記)
- 遺産分割協議書の作成
- 家族への説明やアドバイス など
法律の専門用語をなるべく使わず、やさしい言葉でお話しすることを心がけていますので、「こんなこと聞いてもいいのかな?」という疑問も、どうぞ遠慮なく聞いてくださいね。
🌱 まとめ:いつかじゃなく、“今”がそのときかも
遺言書は、「今すぐ書かないといけない!」というものではありません。
でも、「書いておけば良かった」と後悔する方は、実際にたくさんいらっしゃいます。
あなたの大切な想いを、きちんと形にするお手伝いができたら嬉しいです。
まずはちょっとしたご相談からで大丈夫です。
「遺言ってなに?」「相続ってなんだか難しそう」——そんなところから、一緒に考えていきましょう。
2024.12.17
債務整理の二次被害をご存じでしょうか。
一部の専門家(弁護士・司法書士)がずさんな債務整理をしたことにより、依頼者が以前より経済的に苦しい状況に陥っていることが社会問題として取り上げられています。
ネット広告を見て専門家に相談して任意整理をしたところ、結果として借金が減るどころか生活がさらに苦しくなってしまう事です。
最近、テレビや新聞などで、専門家が関わった債務整理による二次被害についての報道がありました。
債務整理を勧めるインターネット広告等を大量に出す事務所が存在し、「借金減額シュミレーター」「借金全額免除!」「国が認めた借金救済制度」などといった誘い文句で多くの依頼を受けているというものです。
本来ならば、相談者の生活状況では破産申し立てを選択すべき案件であるにもかかわらず、無理な返済計画を立て任意整理に誘導することによって、最終的に債権者への返済が滞ってしまい、相談前より生活が苦しくなったというケースが報告されています。
なぜ、任意整理を勧めるのかというと、処理が簡易なうえ、支払い代行契約を強制し、今後何年間も手数料を得るためです。
実際当事務所にも二次被害のケースにあたる相談を多数頂いており、その対応の悪さに驚かされております。
また、専門家が直接面談をしないで事務員任せにしている、報酬があまりにも高額といった声も寄せられています。
債務整理は、専門家が相談者の個別具体的な負債の状況、収入の見込み、所有資産等の生活状況を聞き取り、相談者に寄り添いながら、今までの生活状況を改善しつつ生活再建を図っていくものです。そのためには、専門家が相談者と直接面談をすることが必須です。
債務整理の最終的な目的は生活再建です。
債務を支払いながら生活を営んでいくことが難しい場合は、破産申し立てを選択するべきでしょう。
また、失業、病気、障害等の理由で経済的に困窮している場合は、債務整理という手段を選択するだけではなく、生活保護等を活用しながら生活再建を図っていく必要があるかもしれません。
多重債務で苦しむ方が一人でも生活再建を経て安心して生活できるように、当事務所では積極的に取り組んでまいります。
債務でお困りの際にはお気軽にご相談下さいませ。
2024.07.26
日経平均株価は高位置で推移しておりますが、収入が減った等の事情から、借金の返済が難しくなった方のご相談がじわり増えてきています。
今後の生活はどうしよう、勤務先の経営状態が悪化して収入が減ってしまった、どうしても借金の返済をする経済的余裕がない等さまざまな不安を抱えて、ご相談にいらっしゃいます。
借金に至った経緯、原因は一人ひとり異なります。
当事務所では依頼者様一人ひとりにあった解決方法を提案し、問題解決に努めて参ります。
費用面での心配もあるかもしれません。
当事務所では契約前に手続料金の総額を提示し、納得していただいた上で契約を行っています。
費用が高額になってしまう返済代行も任意でご依頼頂けます。
相談することは非常に勇気がいることです。
電話が苦手という方は、ホームページの問い合わせフォームからお問い合わせください。
解決策は必ずあります。
一人で悩まず、まずはご相談ください。
2024.03.01
認知症になって判断能力が低下すると、お金を預金口座から下ろせなくなったり、不動産の売却がスムーズに行かなくなる事もあります。
それらに備えて、判断能力がしっかりしているうちにお金や不動産などの財産を家族に託して、管理などを任せる手続きがあります。
このような家族に信託する財産管理の手続きは民事信託もしくは家族信託とも呼ばれています。
例えば、親がお金を自分の子に信託したとします。
信託したお金は子が信託用の口座で管理できますので、その後、親が認知症になって判断能力が低下したとしても、子が引き出して親の生活費・医療費・施設費・介護費などの支払いのために使うことができます。
信託口座ではなく子が自身の口座、もしくは親自身の口座で金銭を管理していた場合、「親のためにしか使えない」と使いみちを限定したとしても、周りの人間にはそれが分かりません。
それを分かるようにするのが信託という仕組みです。
子に渡される金銭は、「親のためにしか使えない」という特徴をもち、言ってみればお金に色をつけるわけです。
将来、子が亡くなった場合でも、この金銭は子の遺産とはなりませんし、子が破産した場合でも、差し押えの対象にはなりません。
また、親の不動産をあらかじめ子に信託しておけば、その後、親の判断能力が低下しても、不動産の売却は子が手続きできます。
なお、不動産の売却代金は子が受け取って信託用の口座で管理しますが、子のものになる訳ではなく、親のために使うべきものです。
親が賃貸物件を持っているようなケースでも、判断能力が低下すると新たに賃貸借契約を結んだり、物件管理をしたりできなくなりますが、判断能力がしっかりしているうちに子に信託しておけば、その後の不動産の管理や賃貸借契約は子ができるようになります。
不動産の賃料などの利益は、子のものになる訳ではありません。
お金の管理は子が信託用の口座でしますが、そのお金は親のために使います。
以上のように、親の財産をあらかじめ子などの家族に信託することによって、将来、親が認知症などになったときのために備えておくことができます。
なお、信託では信託した財産の承継者を指定しておくこともできます。
例えば、初めに父親の財産を子に信託して、子は父親のために財産管理をしていたとします。
父親が、自分が亡くなった後の承継者は自分の妻(子からすると母親)にすると指定しておけば、父親が亡くなった後は、子は母親のために信託された財産の管理を続けていくということになります。
また、父親が亡くなった場合は、子は信託財産の管理を終了して母親に財産を渡すという指定も可能です。
このように、信託は認知症対策のほか、相続対策にも活用できます。詳しくは、当事務所までご相談下さいませ。
2023.11.25
2019年7月1日に施行された改正相続法により、「預貯金の仮払い」という制度が作られました。
今回は、この制度の内容を説明するとともに、活用方法についてもお話しいたします。
預貯金の仮払い制度とは、預貯金口座の相続に伴う出金手続を行う際、本来であれば法定相続人全員で行われる遺産分割協議に基づいて手続すべきところを、一部の相続人のみからでも出金手続が可能になる制度です。
預貯金の口座は、その名義人がお亡くなりになられた場合は凍結され、相続人全員の同意や遺産分割協議を経るまでは、入出金をすることはできなくなります。
しかし、葬儀費用等の支払いのためお亡くなりになられてから数日中に多額の現金での支払いが必要になるなどの不都合があったため、一定金額を限度として相続人の一人から被相続人名義の預貯金口座からの出金をできるようにしたことが、預貯金の仮払い制度の概要です。
では、実際にいくらまで出金できるのでしょうか。これは法律上決められており、次のABいずれか低い方の金額が上限となります。
A 死亡時点での預貯金残高×法定相続分(相続人の取り分)×3分の1
B 金150万円
具体的な事例に当てはめると、次のような計算式になります。
例1 預貯金残高 金300万円 相続人 子供二人(法定相続分は各々2分の1)
この場合には、次のように計算されるため金50万円が上限となります。
金300万円×(2分の1)×(3分の1)=金50万円 < 150万円
例2 預貯金残高 金1500万円 相続人 子供二人(法定相続分は各々2分の1)
この場合には、次のように計算されるため、例1とは異なり金150万円が上限となります。
金1500万円×(2分の1)×(3分の1)=金250万円 > 150万円
なお、預貯金口座が複数の金融機関に存在する場合には、この計算式は、各金融機関ごとに適用されることになりますので、複数の金融機関で手続をする場合、出金できる総額が金150万円を超える可能性もあります。また、仮払い制度を利用しても支出に対するお金が足りない場合、家庭裁判所で仮処分という別の手続を経ることで、法定相続分までの金額を出金できる可能性はあります。
仮払い手続の際に必要な書類関係についてですが、お亡くなりになられた方の戸籍謄本等(出生時から死亡時までの一連のもの)や、手続をされる相続人の方の印鑑証明書等、いくつかの公的資料が必要となります。この必要書類は、各金融機関ごとにその取り扱いが異なりますので、お手続をされる金融機関に問い合わせいただいてから取得されることをお勧めいたします。
また、仮払い制度を利用する際に、いくつかの注意点もあります。他の相続人と相談せずに手続ができてしまうため、後々トラブルが生じてしまったり、多額の借金の存在に後日気づいたけれども、相続放棄ができなくなってしまうという可能性もあります。
預貯金の仮払い制度は、相続手続をする際に活用すればとても便利な制度ではありますが、その利点だけでなく欠点もありますので、実際に制度を活用する際には、ぜひ、ご相談いただいてから手続されることをお勧めいたします。
2023.09.27
大変お問い合わせを多く頂いております相続登記の義務化ですが、いよいよ令和6年4月1日からスタートされます。
長年にわたって相続登記がされないため、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、公共工事が進められなくなる、不動産の管理が行き届かなくなり周辺の環境が悪化するなどの問題が生じています。
そこで、法律を改正し、これまで任意だった相続登記の申請が義務化されることになりました。
相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得した(ことを知った)日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。
また、相続人による話し合い(遺産分割協議)により不動産を取得した場合も、話し合いによる決定から3年以内に申請をする必要があります。
そして、正当な理由がないのに申請をしない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
なお、令和6年4月1日より前に相続した不動産についても、相続登記が未了であれば義務化の対象となりますので注意が必要です。
ただし、これらの不動産については、令和9年3月31日まで3年間の猶予期間が設けられています。
相続人の人数が多いなどの理由により、話し合いで相続の仕方がまとまらない場合は、裁判所で話し合いを行う制度(遺産分割調停)を利用するのも一つの方法です。
相続人のうち一人が申立人となって裁判所へ申し立てを行いますが、申立書の作成や必要書類の取得(戸籍謄本等)について、司法書士が相談に応じることができます。
話し合いがまとまらず、相続登記を行わないままにしておくと、対象となる相続人が増え、ますます解決が遠のく結果となってしまう可能性がありますので、なるべくお早めにご相談下さいませ。
2023.07.21
相続した土地を国が引き取る「相続土地国庫帰属制度」が令和5年4月27日にスタートしました。
「相続土地国庫帰属制度」は「遠くに住んでいて利用する予定がない」「管理の負担が大きい」などの理由により、相続をした土地を手放したいというニーズが高まっていることから創設されました。
遠方に所有する土地などで、利用を予定していない土地を相続した場合、管理ができないまま放置されるケースもあります。また、利用の予定がないからということで、相続登記をすることなく、登記簿からは直ちに所有者が判明しない「所有者不明土地」が発生することも想定されます。
国は、所有者不明土地の発生を予防するため、令和6年4月から一定期間内に相続登記などの手続きを行うことを義務付ける「相続登記の義務化」を開始します。そして「相続登記の義務化」に先立って、相続又は遺贈によって土地の所有権を取得した相続人が、国(国庫)に、土地を帰属させることができる「相続土地国庫帰属制度」をスタートしました。
「相続土地国庫帰属制度」は、買い手のつかない不動産を相続した方にとっては、待望の制度といえます。しかし、相続した土地を国庫に帰属させるにはさまざまな条件があるため、必ずしも国に引き取ってもらえるとは限りません。
土地だけを国庫に帰属させる制度ですので、建物が建っている場合には、あらかじめ、建物を解体しておく必要があります。相続の際に、土地が共有になっている場合には、共有者全員で手続きをすることが必要となります。さらに、公道に通じない土地は国庫に帰属することはできないなど、さまざまな条件が設けられています。
また、申請の際には、国庫に帰属させたい土地と隣接する土地との境界を明らかにする写真を添付する必要があります。境界杭などがあって、境界が明らかな場合は良いのですが、一見してわからない場合には、隣地の所有者と確認して、境界杭を打つなどをすることが必要となります。
申し立てに当たっては、申請手数料が1筆1万4千円必要となります。国庫に帰属できることが承認された場合には、10年分の管理費用に相当する金額を負担金として納付することが必要となります。負担金の金額は、最低20万円となっており、土地の利用状況、面積、法令上の利用の制限などによって決まってきます。
国庫帰属を望むような土地、いわゆる山林等の値段がつかない土地が実際に適用となケースは少ないように感じますが、「相続登記」「相続土地国庫帰属制度に」ついてお聞きなりたい方は是非当事務所までご連絡下さいませ。