会社の種類・特徴について
会社の類型

会社法では有限会社の新設を廃止して、新たに合同会社の設立を認めています。

 

つまり、

 

(1)株式会社

(2)合名会社

(3)合資会社

(4)合同会社

 

の4種類の会社を設立することができます。
なお、旧商法下で設立した有限会社は、会社法施行の日以降は、会社法の規定に基づく株式会社として存続し、「特例有限会社」といいます。
また、株式会社以外の(2)(3)(4)の会社を「持分会社」といいます。

株式会社とは

社員の地位が株式という割合的単位に細分化されており、社員は株式の払込みという形で会社に出資する義務を負うだけで、
会社債権者に対する責任財産は会社財産のみであり、社員は会社債権者に対しては何らの責任も負わない形態の会社です。

 

【株式会社の特徴】

 

(1)社員の地位が株式の形をとる

(2)社員が有限責任である

合名会社とは

社員の全員が会社債権者に対して連帯かつ無限の責任を負う会社です。

 

【合名会社の特徴】

 

(1)社員の全員が連帯無限の責任を負うこと

(2)各社員が定款に別段の定めがある場合を除き、会社の業務執行権と代表権を有する

合資会社とは

無限責任社員と有限責任社員からなる会社です。有限責任社員は定款記載の出資の額を限度とする責任を負うにとどまります。

 

【合資会社の特徴】

 

(1)少なくとも無限責任社員と有限責任社員が共に1人ずつ存在する必要がある

(2)無限責任社員と有限責任社員は、いずれも定款に別段の定めがある場合除き、会社の業務執行権と代表権を有する

合同会社とは

会社法で新しく創設された種類の会社で、すべての社員が有限責任であり、定款記載の出資の額までしか責任を負いません。

 

【合同会社の特徴】

 

(1)社員全員の一致でなければ定款変更その他会社のあり方を決定できない

(2)各社員が業務執行権と代表権を有する

 

少々細かいですがLLC(合同会社)とLLP(有限責任事業組合)について詳しい説明はこちらでしておりますので
どうぞ(クリックしたら下の文へ)

LLCとは

LLCとは、会社法で新しく創設された合同会社のことであり、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルにしています。
合同会社(LLC)は、組合などと異なり、株式会社・合名会社・合資会社のように法人格を有する会社であり、
組織変更をすることで株式会社になることもでき、種類変更によって合名会社や合資会社にもなれます。

 

また、合同会社(LLC)の内部関係は合名会社の規定が準用されますが、外部関係では、
出資者全員の責任が有限責任とされていますので、会社法施行前の有限会社と同様の性質を有するといえます。

 

【具体的な活用】

 

(1)

ベンチャー企業 将来的には株式会社に組織変更することも可能であり、自らの経営権を失うことなく企業運営できます。

(2)

専門資格職 弁護士・司法書士・公認会計士・税理士等のコンサルティング業は物的資産よりも個人の専門知識等の人的資産を活用することが中心となりますが、合同会社(LLC)の企業形態を活用して利益分配や意思決定等を定款でプランニングして個人財産まで失うことがないようにすることが可能となります。

(3)

投資ファンド 会社法施行前の投資ファンドは「投資事業有限責任組合契約に関する法律」に基づき運用されることから、組合契約であることによって法人格がないことや、投資対象が限定され、無限責任社員が必要であるなどの制約がありましたが、合同会社(LLC)を活用することで、広くファンドの原資を募ることが可能となります。


LLPとは

LLPとは、平成17年8月に施行された「有限責任事業組合契約に関する法律」に基づく新たな事業体のことで、
イギリスのLLP(Limited Liability Partnership)をモデルにしています。

 

有限責任事業組合(LLP)は会社法における合同会社(LLC)に類似しており、その特徴として、
1)構成員が有限責任であること、
2)損益や権限の分配を自由に決めることができるなど内部自治が徹底していること、
が挙げられます。

 

しかし、あくまでも組合の形態を取るため法人格がなく、組合名義で登記名義を取得することはできません。
また、節税効果の高い構成員課税の適用を受けるという特徴もあります。

 

【具体的な活用】

 

(1)ソフトウェア・アニメ産業等の専門人材集団 構成員の責任を限定し、迅速な意思決定ができるためベンチャー企業等の活動範囲が広がることが期待されます

LLCとLLP 両者の共通点と相違点

以下にLLCとLLPの共通点と相違点を簡単に挙げておきます。

 

共通点 相違点

1)

出資者が有限責任

1)

LLC(合同会社)は法人格を有し、法人に課税される

2)

内部関係には組合的規律が適用され、出資者の出資比率と関係なく、貢献に応じた利益や権限の配分ができる

2)

LLP(有限責任事業組合)は法人格を有せず、構成員に直接課税される

3)

ジョイントベンチャーや企業間及び産学連携等の組織体で、専門人材、高度の技術力、ノウハウ等を活用して新商品・製品の開発等が可能

 

 

 

 


株式会社・民法組合との比較
  LLP LLC 株式会社 民法組合
法人格 × ×
責 任 有限責任 有限責任 有限責任 無限責任
業務執行 総組合員の同意 業務執行役員 代表取締役 総組合員の同意
内部自治 × ×
構成員数 2名以上 1名以上 1名以上 1名以上
組織変更 × ×
構成員課税 × ×